蕎麦の実の中心部分だけを使った蕎麦。更科のなかの更科蕎麦。
「つなぎ」無しではまとまらず、麺にするには高い技術が必要という、そこいらではお目に掛かれない蕎麦。
北東北では食べられないと諦めていたが、まさかこんな所で出会えるとは。
花巻台温泉 そば房 かみや
花巻方面にドライブしてお昼時間になったので「蕎麦でも食べるか」と、助手席では名ナビゲーターのカミさんがいつのも様に検索。
花巻市内の「やぶや」で宮沢賢治が好んでいた「サイダーと天ぷらそば」と競り合った結果、そば房「かみや」に決定。
実はその前に寄っていた、東和町の「佐々長醸造」さんでお気に入りの味噌を買った時、花巻のタウン誌を頂いた。
そこに「かみや」さんが紹介されていて、このタウン誌をもっていくと「そばがきのげんこつ揚げサービス」と書いてあったので、それが決定打となった。
昭和の風情が残る花巻温泉街のさらに奥の台温泉へと進む。
道はどんどん細くなり若干心細くなり、ナビが間違っていないことを祈る。
ナビが案内を終えた所には、そば屋の「のれん」を下げた急な階段があり、人の出入りしている様子はない。
その場所を過ぎると温泉の駐車場があるのでとりあえずそこに駐車した。
すると建物の右奥に白いのれんが下がっており、そば屋と分かる。こちらが入口だ。
日本の情緒を感じる玄関を入ると15~6坪ほどの店舗に座卓が5つ(だと記憶しています)。
板の間の店舗で、勝手に掘りごたつを想像したのは私だけでしょうか。
頼んだ品は「かみやそば」と「ざるそば台子セット」
「台子のきもち」いりの地鶏そば(ハーフ)のセットです。久慈地方の「まめぶ」みたいな団子が入っています。
トロットした触感のハーフそばがついてきます。
「ざるそば」といってもざるには入ってきません。
海苔も乗っていません。
この呼び名に関しては諸説あるようなので調べてみても面白いと思います。
透明感のあるざるそばは、しゃきしゃきのそばの触感と薬味とのバランスが繊細で初めての感覚でした。
良い意味でこんなに薬味を感じてそばを食べた事は無い。
暮坪カブという、辛いカブがあるがそれを食べた時の強烈な印象とはちがって、すごく繊細なバランスで感動しました。
食べ方は好き好きだが、ここでは薬味は決して汁に入れないほうが良い。
チョンと箸でつまんでそばに付け、そのまま一緒にそばをつまんでそばつゆを付けて食べる。
セットで出されたハーフサイズの暖かい蕎麦は、冷たい蕎麦とは全く食感が変わり私の好みでは無かった。
ざるそばで感動した「しゃきしゃき感」は弱く、十割蕎麦によくある「ぽろぽろ切れる」感じであった。
ただこのぽろぽろ切れる感じは逆に考えると混ざりけ無しの十割蕎麦の証明でもあり、作っている人の実直さを同時に感じる事でもある。
蕎麦湯はお昼前でも濃い目でこちらもしっかり頂きました。
田舎蕎麦もよいが職人気質を感じられるこんなそばも良い。
メニューに「箱そば」があったので、次回はそれを頼んでみよう。山形の「板そば」のように3人前ぐらいの量の様です。
でも、おそらく一人で食べてしまうでしょう。
こちらは「ざる」に乗っていました。
帰り道には滝があり写真を1枚パシャリ!降り口には駐車場がるのでそこに車を停める事ができます。
足場が悪いので気を付けて。
この後は、東和町にある千三百年の歴史を持つのにあまり有名ではない「丹内山神社」へ向かいます。
みちのくの奥です。
~~~ 追記 ~~~
箱そば食べました!
という訳で前回後ろ髪を引かれる思いでお店を後にしたので、後悔の念が消えず、気になって気になって。
再訪問しました。
「そば房 かみや」さん。
ここは迷わず「箱そば」を注文しました。
二人で訪問したので蕎麦はシェアできるので「四種のたれ」を追加注文しました。
E-M10MarkII (14mm, f/3.5, 1/15 sec, ISO1600)
注文するととりあえず四種のたれと薬味が出てきました。
四種のたれは「普通のつけダレ、高遠大根のしぼり汁、地鶏つけダレ、カモつけ汁」です。
薬味は一人前ですのでシェアする場合は「つけダレ薬味セット」を追加したほうがいいと思います。
前回はこの薬味との相性にすっかりやられてしまいました。
そしていよいよ待ちに待った板そばの入場です。
E-M10MarkII (14mm, f/3.5, 1/20 sec, ISO800)
ナイスビュー!
しゃきしゃきの食感と薄味のつけダレが上品でしかも四種類のつけダレと三種類の薬味があるので全く飽きることなく楽しくてしあわせな時間を頂くことができます。
そしてつけダレと薬味をとっかえひっかえズルズルと呼吸するようにあっという間に完食です。
ちなみに、このしゃきしゃきの蕎麦は只見川流域の会津で採れた蕎麦を使用しているとの事。
濃い汁が好みの方は物足りないかもしれません。
そういう方は四種のつけダレを注文しないで薬味セットをもう一つ注文すれば相性がよい薬味で楽しく食べる事ができると思います。
次回は薬味追加でまた「板そば」を楽しんでみよう。
この後は、またも東和町にある成島毘沙門堂へ向かいます。
みちのくの奥です。
どんとはれ。