2016秋一押しDXレンズ 16-80mm f/2.8-4E ED VRのレビュー

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

現在の僕が、オススメのDXフォーマット標準ズームレンズとしている16-80mm f2.8-4が、D500のキットレンズである訳。久しぶりに持ち出して使ったら、これぞデジタル写真という描写と中々に使いやすい焦点距離だという事に気付かされた。比較対象はDXレンズ最高峰の17-55mm f2.8G IF-ED。レンズの型式から紐解くレビューです。

 

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AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

去年の発売と同時に、バランスが良さそうで、使用頻度の高い焦点距離と、あこがれのナノクリに目がくらみ、物欲に身を任せ、さっさとレンズを単品購入して、D5500に付けて使っていた。

しかし、すぐにD5500のキットレンズの18-55mmVRⅡの使いやすさに気づいて、この16-80mmを付ける事がなくなっていた。

一眼レフ初心者必見!D5500の標準ズームレンズ18-55mmVRⅡをあなどるな
デジイチ初心者(私も)が最初に手にするレンズは何が良いか。という問題をちょっと昔を振り返り考えてみた。 写真に詳しい人はキットレンズより単焦点を進めるだろう。それはそう思うのだが、標準キットレンズ縛りで撮ってみると意外と写真の楽しさを教えて...

 

D7200またはD500にはf2.8通しのお気に入りレンズ「17-55mmf2.8」があるので、やはりこちらにも16-80mmを付ける事は無かった。

その頃はこのレンズの色々な事が、中途半端に感じたりもして使いどころがわからないままだった。

そんな出番の無かったレンズを久々に持ち出してみたら、今更だが使い心地の良い事に気が付いた。

そこで、あらためてこのレンズのレビューを書いてみました。

先ずは見た目から。

D7200に17-55mm、D500に16-80mmを付けてみました。

いずれもDXフォーマットでは数少ない金環が描かれた実力者対決です。

共に一番コンパクトな状況です。17-55は55mmで16-80は16mmと広角望遠が逆になります。

p9180012

お互いズームを変えて最長の状態です。ほぼ同じ長さになりました。

p9180013

 

17-55はズームして飛び出した部分はフードの中に隠れるので、安心設計です。

そして、長さも16-80の方が長くなり逆転です。どちらもレンズフードにロックがあるので外れにくくなっています。

p9180016

16-80のレンズフードは四角いので特徴的です。でもこの形が場所取りなんですよね。逆につけても妙にかさばる。テレビカメラっぽいのもちょっと好みが分かれるところ。

 

基本スペックを型式で読み解く

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

まず型式先頭のAF-Sだが、これはAFだとレンズに組み込まれているオートフォーカス用の制御モーターが下位のモーターで、反応の遅いオートフォーカスです。

今回のレンズの様にSが付くと、オートフォーカス用のモーターに超音波モータが使われ、静かで高速ですよ。と読み解きます。最近ではAF-Pと言う動画でも使える様なさらに静かなレンズが登場してきました。

 

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

ついで、DXはDXフォーマット用ですね。つまりはイメージセンサーがAPS−Cフォーマット用ですよ。FXフォーマットではケラレが生じますよ(設定で条件が付きますが、使えるようになります)。です。

 

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

焦点距離は16〜80mmのズームレンズです。35mm換算すると24〜120mmなので、広角から中望遠のレンズですよ。と、ここまではなんら問題なく読み解けます。

ちなみに、この焦点距離がスナップには使用頻度が高く、程々にパースの効いた画から程ほどに圧縮効果を狙った画まで対応してくれます。18-55mmあるいは17-55mmからもう一歩踏み出したレンズ効果が狙えて、ほぼイメージ通りの画が撮れて、レンズ交換の手間から解放されています。

 

 

話を戻し、ここから先がこのレンズの本性を読み取る為の大事な型式です。

 

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

先ず、目を引くのはf2.8から4と明るい解放F値。そこで、どのように解放f値がかわるのか、焦点距離と解放f値の関係を調べてみた。

やり方は原始的だが、実際に撮影してExifデータから抜き出した。それを下の表にまとめてみました。

焦点距離と絞り(解放f値)の関係

焦点距離 f値
16〜22mm 2.8
22〜28mm 3.0
28〜34mm 3.2
34〜40mm 3.3
40〜52mm 3.5
52〜62mm 3.8
62〜80mm 4.0

 

実際使っていても、高倍率レンズと違い、緩やかに解放f値が上がっていくところが使いやすく、そして解放f値が2.8で始まる恩恵は大きく、よくある標準ズームレンズの最小解放値のf3.5は40~52mmにならないとその値にはならない。

 

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

つい見逃してしまいそうな型式の「E」だが、これが重要なことに最近になって気がついた。

ちょっとここでは説明が長くなるので、こちらの記事を参考にしてください。

重要

ニコンレンズ Dフォーマット Gフォーマット 最新Eフォーマットとは
電磁絞りって何?小ネタだけどレンズ選びの判断基準になります。前回からの続きで、初物づくしの16-80mm f2.8E ED VR レンズからの情報です。 電磁絞り(Eタイプ)とは 「DXレンズ初!」は、ブランドの様な響きの様になっているナノ...

 

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

さらに続くEDの文字。ズームしてもレンズ長が長くならないとか、決してそっちではありません… 。それはそれで高性能の証しだと思うが。

ニコンの高級レンズの代名詞で、色収差を抑える高度な特性を持った単体のレンズです。これが数枚組み込まれているレンズがEDの称号を与えられます。

 

AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR

そして最後のVRは説明するまでもありませんが、手振れ補正機能が組み込まれていることがわかります。

このレンズの場合は、4段分の手振れ補正が付いています。

 

ここまでが型式から読み取れる機能です。

 

さらにレンズ本体で金色に輝く「N」の文字はナノクリスタル処理されている事を表しています。レンズ表面にはフッ素コートが施されています。

能書きはこのぐらいで、そろそろレビューを交えていきましょう。

 

レビュー

いまさら説明する程の事ではないが、逆光に強いと言われるナノクリも、意識して逆光で使ってみると、16-80mmでは写真がかすんだように白くならない事に気づき「なるほどこういう事か」と感心するほど鮮明な写真が撮れた。

ちなみに、場所は秋田県の御所掛け温泉の裏山で、去年の同じ時期、時間、そしてほぼ同じ方角で撮影した写真を比べてみましょう(上手い下手は置いといて頂けると助かります)。

比較レンズはあのDX最高峰の17-55mm F2.8G IF-EDだ。

 

先ず17-55mmから

dsc_4588-2NIKON D7200 (38mm, f/3.5, 1/5000 sec, ISO800)

dsc_4591NIKON D7200 (55mm, f/2.8, 1/4000 sec, ISO800)

DX最高峰のレンズでも、逆光ではこの通り、白く濁ってしまう。よくある写真だ。(それにしてもひどいExifデータだ。戒めの為に載せておこう。)

こんな時は、手やノートなど持っているもので太陽光がレンズに当たらないようにすると、すっきりした写真が撮れるのですが、さすがに太陽光を遮るものがファインダーに入るようではそれも出来ません。

それらを補うように現像ソフトでなんとかしてみるのだが、Ligt_roomの「かすみの除去」をすると簡単に解消できるが、ここはレンズの評価なので今回はその様な編集はしていません。

 

次に最近撮った写真で、今回主役のDX唯一のナノクリ16-80mmレンズです。

ds5_6323NIKON D500 (16mm, f/11, 1/800 sec, ISO100)

撮って出しの編集なしです。見事にすっきりした絵です。しかも正面には太陽を入れてあります。

驚いたのはD500のダイナミックレンジが広い事。太陽と逆光の景色なのに、白とびも黒つぶれもなかった。

 

汚れを付きにくくするフッ素コートも、その恩恵を受ける程の出来事は無かったが、レンズをクリーニングクロスで拭いてみると、明らかにレンズ表面の抵抗が少なく、何らかの処理がされている事を実感できた。

 

そして、情報量の多い場面でもカリッとした描写を保ち、その出来栄えに思わず自分の腕が上がったような勘違いをさせてくれる。

ds5_6327NIKON D500 (16mm, f/5.6, 1/2500 sec, ISO100)

写真中央部分を、等倍撮って出し写真です。(1080×720pxなので、拡大し過ぎたらぼやけるだけです。)

ds5_6327-2NIKON D500 (16mm, f/5.6, 1/2500 sec, ISO100)

正直びっくりです。沼の泥の質感が表現されています。本当に情報量の多いレンズだと感心させられました。

(27inMac5Kだと、より綺麗ですよ。)

 

愛犬(超小型犬)が走っている姿を連射してもEタイプの恩恵なのか、ピントを外す気配すらなく、しっかり食らいつき、広角のパースの効いた場面から、中望遠で表情を狙った写真まで満足のいく写真が撮れました。撮影していてストレスがなく、すごく楽しいかった。

撮れた写真を見て、一皮むけた様なその描写力で更に驚き、D500と16-80mmがレンズキットだという事に、納得せざるを得ない使用感でした。

(プライバシー保護の為、写真掲載を当分見送ります。)

 

これはやはり電磁絞りと言う新しい技術のおかげでしょう。

先でも説明していますが、電磁絞りEタイプと言われる新しいレンズフォーマットで、DXレンズではこれも唯一搭載されているレンズです。

 

ズーム領域もレンズを持ち出す際にこれ一本という場面では、望遠側が55mmからあと一歩が出せる80mmは心強い。広角もたった1mmだが広角はこの1mmの差は大きい。17mmという素数も気になるし…。

そして、絞り枚数は7枚と抑えてあるので、丸ボケはしっかり7角の丸ボケ?となる。

ちなみに17-55mmは9枚の絞り羽があるので、ほぼ丸い丸ボケが発生しますので、丸ボケ対決はフラッグシップの17-55mmに軍配があがる。ただし、掲載した写真のように年輪ボケが発生した事もある。

DS5_2292NIKON D500 (55mm, f/2.8, 1/8000 sec, ISO125)

 

 

f2.8通しレンズを超えるVR機構とカメラ設定

反面、17-55mmf2.8と比べると、望遠側の80mmの解放f値は4と一段暗くなるので、薄暗い場面ではこのレンズを持ち出すことに躊躇してしまう。

やはりそういった部分でもf2.8通しのズームレンズであるDX17-55mm f2.8を持ち出す機会が多くなっているのは致し方ない事だ。

だた、シチュエーションによっては、薄暗い場合などでISO感度が高くなる事を避けるのに有効なカメラ設定もある。

この記事を参考にしてもらいたい。

ニコンVRレンズを活かすオススメのカメラ設定「低速限界設定」
最近、DXレンズで唯一ナノクリスタルコートされた16-80mm f2.8-4E ED VRにD500の組み合わせでカメラを持ち歩くようにしているが、何気なく使っているVR機能に疑問を持ち、ある設定を考えた。 VRレンズを活かす「低速限界スピ...

 

この設定はVRレンズの性能を積極的に引き出す方法ですが、僕の場合は17-55mm f/2.8という、DXフォーマットの大三元レンズと勝手にうたって、離されないレンズがあったので、16-80mm f2.8-4VRというレンズの出番は最近ありませんでした。

しかし、この設定を知った今では16-80mmの出番が多くなっています。

 

DXレンズ初!と、新しい技術と設計者の気合をたくさん詰め込んだこのレンズ。中々の力作だと思った。

このレンズの性能を生かすにはやはりEタイプのレンズフォーマットに対応していて、連写がずば抜けて得意で、ダイナミックレンジの広いD500がベストパートナーという事を思い知った結果となった。初めて「これぞデジタル写真」と言うカリッとした写真が撮れたような気がした。

合わせて、このレンズを使うようになって、センサーとレンズのマッチングと言うのもあるのかなとも思い始めた。

情報量の多いセンサーにはその情報量にマッチしたレンズとの組み合わせがあり、それがバッチっと合う組み合わせがあるように思う。

その一つが、この組み合わせなのではないかなと。

そしてこのレンズ、AF時のムニュ~ンという音は今でも気にはなる。

 

まだまだいけるDXフォーマット。これでしばらくフルサイズ病は発病しそうになくなった。ただ、フルサイズのFXフォーマットレンズには興味が湧いてきた。Eタイプでレンズを選択する考え方も全然ありだな。

 

そして、あらためて比べてみるとDXレンズ17-55mmf2.8は設計の古さが顔を出して来た様にも思えてきました。

ただし、「ボケみ」とか「柔らかさ」などの表現は、f2.8通しのズームレンズや、明るい単焦点レンズにはかないませんが。

気になるのは、オートフォーカス性能で、16-80mmは中央のフォーカスポイントでは迷いがないのですが、他のフォーカスポイントが迷うことがある。

それに対し、17-55mmはどこのフォーカスポイントでも迷うことはまずない。やはり基本性能は重戦車の異名とる17-55mmが格上のようだ。

 

「道具に頼る」と言う事は良い道具に頼るという事。でも解釈を変えて、道具の機能をしっかり引き出し、発揮させ、本来持っている能力を使いきる事から始めてみてはどうでしょう(と自分にいいかせるのであった)。

今回紹介したレンズ

Bitly

 

以上、朝晩の寒暖差が紅葉に期待を膨らませる奥野路頼(@MitchiOkuno)でした。

どんとはれ

写真
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