ロボットとは失敬かもしれないが、ビルとビルの間を移動し、時々その屋上付近から見え隠れする立佞武多は、さながら特撮なしの怪獣映画の様だ。しかし、それは復活の思いと伝統的な技法と伝承する事で作られた見事な芸術作品だった。
五所川原立佞武多
この五所川原市の「たちねぷた」を知ったのは恥ずかしながら去年の事です。それまで全く知りませんでした。
きっかけは、去年の竜飛岬弾丸日帰りドライブでの帰り道での事です(ブログを始める前)。帰りの時間も余裕があったので、五所川原市出身の同僚の事を思い出し、どんな街なのかとふと立ち寄ってみることにした。
名ナビゲーターであるカミさんの検索情報法によると、駅の近くに「立佞武多の館」と言う資料館があるらしいので、そこに決定。この時点で立佞武多の「立」の意味を理解はしていない。想像するのは「青森ねぶた」のちょっと小さい版、を勝手に想像していた。
閉館時刻間際だったことを覚えているが、そんな時間でも係りの方は快く入館させてくれた。展示室に入ると、目に飛び込んできたのは想像できるはずもない巨大な「ねぷた」だった。
一瞬理解できなかったが、その色鮮やかに発光しているねぷたを、4階吹き抜けのホールに展示してあったのだ。
そして、なにやら4階から降りるようにグルグル回りながら見学できるというので、言われるままエレベーターで4階へ行く。
どうやら、その立佞武多の周りをグルグルと回るように少し下り勾配の付いた廊下というかキャットウォークを歩くことが出来て、近くで立佞武多を見る事が出来る。
NIKON D7200 (19mm, f/3.2, 1/250 sec, ISO800)
下まで降りる間に、巨大ねぷたの復活の歴史や歴代の立佞武多の写真、また伝承の経緯などが展示されているので、おおよその事は分かった。
それらを踏まえて、やはりこの扉から、この建物から出ていく姿、街を練り歩く姿を想像し、ぜひその瞬間を見てみたいと思った一年前。いま、それが現実となった。
アクセス
今回も盛岡からの日帰りです。泊まりません。移動時間は2時間ちょっと。おっ!
♫は~ぁ、朝起ぎで~、牛つれで~、2時間ちょっとの散歩みぢ♫
2時間ちょっとは散歩程度だよと、五所川原の大先輩が歌っているので、やはり日帰りです。
・・・。
ここでもやはり帰りの渋滞などが懸念されるので、逆算して考えた。
選択肢はシャトルバス利用と五所川原駅の利用と付近の駐車場利用の3つ。
シャトルバスは?
エルムの街ショッピングセンターという所からシャトルバスが出るらしいので先ずは現場下見。
そして、エルムの街に着いてびっくり!
イトーヨーカドーをメインに、その広大な駐車場を囲むようにあるのはテックランド、ケーズデンキ、サンデー、ゼビオ、ユニクロ、はたまたお風呂屋さんまである。
こんな所なのね五所川原市って、と前回は立佞武多館を見ただけだったので新たな発見だった。
で、本題のシャトルバスとの相性を考えると、距離も会場まで1.5kmぐらいなので割合近く、利用価値が無い事もないが、ここからどれぐらいの本数のシャトルバスがでて、どれぐらいさばけるのか不透明な部分が多いので、保留とした。
五所川原駅利用は?
これは、たまにやる方法だが、駐車場のある一駅か二駅前後の駅に車を停めて渋滞を回避する方法だ。五所川原駅から会場までは、歩いて数分の距離なので、五所川原駅を利用するのはありだ。しかし、僕たちにとっては中途半端な時刻になるのダイヤなのでこれも保留。
余談だが、五所川原は絶景で有名な五能線なので「リーゾートしらかみ」を利用する事も出来る。僕は先月の能代花火で乗ったばかりだ。
会場付近の駐車場は?
慎重に決めなければならないのが、会場付近の駐車場を利用する場合だ。渋滞に一番ハマってしまうのはそうだが、交通規制がかかっているので、出入りが自由にできない。
しかし、パンフレットを良く見ると、交通規制がかかるのは立佞武多の運行経路の一本外周にアクセスする路地までで、外周は規制がかからないのだ。
であれば、21時の交通規制解除を待たずに移動開始が出来る。つまり、会場内の駐車場が出る前に車を移動できるので渋滞になる前に会場を抜ける事が出来ると考えた。
結果は駐車場を出る時は並ぶが、その先が渋滞していないのでスムーズに進んでいく。遠回りにはなるが、目指すは「五所川原北I.C!」
見事に正解だった。
何だったら、もう一本外周の駐車場だったら、間違いなく渋滞には巻き込まれないだろう。
開始前の会場の様子
立佞武多は館から出てきて、800mぐらいの距離の道路を一周して戻ってくる。その経路沿いでは有料のパイプいすが設置される。
その事は事前にリサーチ済みだが、その席が座れるかとかどれぐらいの席数なのかとかどこで頼むのかなどの具体的な情報が無く、ぶっつけ本番で体験する事になった。
まず場所取りが少ない事に感心した。五所川原の方々はマナーが良いようだ。場所取りしていてもお行儀が良いというか、えげつない感じでは全くない。
NIKON D500 (18mm, f/4.5, 1/1250 sec, ISO100)
祭りの最中も、歩行者通路がしっかり確保できていて、もちろん人混みはすごいが、人渋滞で立ち止まらなければならない事は無かった。
パイプいすの情報だが、どうやら店舗前の歩道はその店舗のテリトリーらしく、各店舗前は道路側に1~3列ぐらいだが、ある程度自由に置いているようだ。1席¥500が相場らしい。
僕らは午後の3時頃だったか、座りたい場所に近いお店の人に聞いて席を確保できた。席を確保できたので後は自由行動が出来る。
祭り前までは「立佞武多の館」やその周辺のお店でゆっくりくつろいだ。暑いので「立佞武多の館」は空調が効いて助かる。アイスコーヒーなど頼んだりして快適に時間を待った。
メインストリートは、付近のお店が出店しているテントが目立ち、うまい食べ物を提供してくれる。これも僕好みで良い。チーズナンカレーが美味かった。
ちなみに周辺ではこのあたりの名物として「やってまれ丼」「のへ丼」などのいわゆる「のっけ丼」が有名だ。また、車で20分程度の所に有名な「鶴の舞橋」もある。
立佞武多祭りの様子
日が暮れると祭りが始まる。日中はこんな感じの立佞武多の館。
NIKON D500 (17mm, f/4.5, 1/800 sec, ISO100)
この大きなガラスの扉が開きます。どう開くのかっていうと後程。
中に入ると小さなねぷたが展示されています。上の写真のちょうど真裏にあたる場所のです。
NIKON D500 (17mm, f/4.5, 1/50 sec, ISO100)
今年製作された「出雲阿国」が姿を現しました。スケール感が分かりにくいが、とにかくデカイ。顔の前にあるのが展示室の人が歩く通路です。その通路が上がる仕組みがロボットの格納庫っぽい。この瞬間を見たかったんだよなぁ。一年間待ったのでワクワクした~。
NIKON D500 (55mm, f/4.5, 1/100 sec, ISO1250)
出てきた!
NIKON D500 (23mm, f/7.1, 1/100 sec, ISO100)
膨らんでいるガラスの部分が電動で全部開き、これまたロボットが格納庫から出てくるようだった。このスケール感最高!
1/1ロボット!でも芸術品です。
おととし作られた立佞武多がこの場所の定位置となりすべてのねぷたを見守った後、大トリとして街を行脚した。
NIKON D500 (17mm, f/2.8, 1/40 sec, ISO100)
大きな太鼓で、しかも2段になっている。
NIKON D500 (17mm, f/2.8, 1/25 sec, ISO360)
各団体による小型?のねぷたなど全部で17~18台練り歩く。
NIKON D500 (38mm, f/2.8, 1/80 sec, ISO1600)
これより順不同に写真を数枚掲載します。
高校生の作品の様です。クオリティーの高さに驚きました。
NIKON D500 (19mm, f/2.8, 1/40 sec, ISO100)
昨年の作品です。
NIKON D500 (28mm, f/2.8, 1/50 sec, ISO200)ただただ圧倒される大きさだ。
出雲阿国がやってきました。
NIKON D500 (32mm, f/2.8, 1/50 sec, ISO450)
掛け声は「ヤッテマレ、ヤッテマレ~」で、「やってしまえ」と言う意味だが、ある意味この大きさはやってしまっている。だから「ヤッテマッタ、ヤッテマッタ~」でも良いかもしれない。<(_ _)>
NIKON D500 (50mm, f/2.8, 1/50 sec, ISO160)
どのビルよりもデカイ。
NIKON D500 (31mm, f/2.8, 1/50 sec, ISO140)
すべての立佞武多が館に戻るわけではないようだ。
NIKON D500 (30mm, f/2.8, 1/50 sec, ISO2500)
そして、街を一周して立佞武多の館に戻ってきました。館に入る姿を見る事が出来て、この瞬間に立ち会えて大満足でした。
NIKON D500 (19mm, f/2.8, 1/50 sec, ISO450)
帰りも渋滞することなくすんなり帰れて、ほぼ予定通りの23時ちょっと過ぎに帰宅が出来た。このお祭りの印象は意外とのんびり自由に楽しむことが出来て、食べ物もおいしいし、大変良かった。祭りバカもきちんと抑制されていて一般観光客がとばっちりを食らう事のない安心のお祭りで、写真も自由に歩けるので撮りやすい。今まで行ったお祭りの中では一番楽な上に、芸術性が高く迫力も桁違いで、また行こうと思えるお祭りだった。
以上、「ヤッテマレ、ヤッテマレ~」が口癖になっている奥野路頼(@MitchiOkuno)でした。
どんとはれ