正直な感想です。年寄り臭いと思って「船下りってどうなの?」と今まで近づくことの無かった猊鼻渓。僕もそろそろ解禁の年齢と自覚し、紅葉の写真を撮りに行ってみたら、もっと早くに行くべきだったと、後悔先に立たず。
猊鼻渓船下り
盛岡城跡公園の紅葉も、もうすぐピークを迎えようとしています。場所によってはまだ紅葉すらしていない木もありますが、イチョウは落葉が始まり「銀杏臭?」がしています。
特に西側では現在最高の発色です。
NIKON D7200 (17mm, f/4, 1/640 sec, ISO500)
寒い盛岡でこんな感じだから、猊鼻渓はまだ早いかもしれないけど、一度も猊鼻渓の船下りには乗ったことが無いので、下見を兼ねて行ってきました。
地図
盛岡からは高速道路を使い、一関ICまで行かずに水沢ICで降りて、蘇民際で有名な黒石寺を通るルートが、一関経由とほぼ同じ1時間40分ぐらいの移動時間なので、高速料金がお得で、走行距離も若干短いのでおすすめルートです。
ちなみに、同じ一関には「厳美渓」があり、多くの方が混同していますが、厳美渓は一般道路沿いなので、普通に見る事が出来る景勝地です。
ゴツゴツした大きな岩の間を流れる激流、厳しさの中の美しい川の流れが厳美渓(げんびけい)です。
空とぶ団子の「かっこうだんご」が有名です。
近くのサハラガラスパークも昭和の観光地感が半端ないですが、一歩店内に足を踏み入れると、世界の幻想的なガラス細工が圧倒的な数で並び、見ているだけで時間が経つのが早く感じるような場所です。
カバンなど持っていると、壊しそうでちょっと緊張しますけど。
話を猊鼻渓に戻して、駐車場は厳美渓のレストハウスから、その奥の乗船券売り場まで有料、無料がありますが、足腰が弱くない方は国道沿いや川向が無料の駐車場になっているのでそちらがお得です。
歩いても乗船券売り場まで2~300mぐらいでしょう。
乗船券は大人¥1,600円です。
小型のペットも¥200円で乗船OKの様です。(冬季のやかた舟は不可)
1時間ごとの定時の発着ですが、今回は休日と紅葉でお客さんが多く、時刻に関係なく次々と運航しているので、ほとんど待ち時間はなく舟に乗り込みます。
その際は¥115円を持つ事も忘れないように。
NIKON D7200 (17mm, f/4, 1/125 sec, ISO200)
船頭さんの案内で要所要所の見どころを説明してもらいながら川をのぼります。
「のぼる?」
猊鼻渓の舟下りは「舟上り+三好ヶ丘(下船し景勝地めぐり、アトラクションあり)+舟下り」の90分で構成されています。
舟の周りにはウグイ(川魚)の小さな群れや、桁はずれに大きいコイがついてきます。
カモやシラサギもすぐ近くで見る事が出来、運が良ければシラサギが魚を取る場面を見る事ができます。
船頭さんが竿一本で操り、滑るように進む低い舟には、エンジンが付いていないので静寂そのもの。
川の流れは緩やかで、かといって池の様に流れがない訳ではないので、時々流れてくる落ち葉が、非常に近い川面に表情をつくります。
わずかにざわめく枯葉。
いま自然の中にいる事を実感します。
ふと、猊鼻渓に松尾芭蕉が訪れていたら、どんな句を読んだろうかと思いをはせる。
本来であれば、下りの舟で聞くはずだったが、すれ違う船頭さんが唄う「げいび追分」は、自然のコンサートホールのように渓谷に響きわたった。
猊鼻渓の舟下りは、よくある観光のアトラクションと思っていたが、清々しい心洗われる時間が流れている事に気が付いた。
豊かな時間が流れる中、舟は川をのぼります。
折り返しである三好ヶ丘のちょっと手前に、賽銭箱が置いてありました。
NIKON D7200 (17mm, f/5, 1/50 sec, ISO1250)
船頭さんに促され賽銭を投げ込みます。
なかなか入る人がいませんでしたが、入るときれいな音がします。
まだ行っていない人は確かめてみてください。
ここで、ちょっと雑学コーナーです。
一般的にお賽銭は5円玉を投げますよね。「ご縁」があります様にとかで。
もう少し縁起の良い金額がある事、知ってますか。
それは¥15円です。
十分なご縁があります様に、とか言って。
そのほかには
¥115円:いいご縁があります様に(縁結び?)。
¥125円:十二分なご縁があります様に(欲が出てきた)。
さらには
¥485円:四方八方からご縁があります様に(よくたがり)。もはや欲の塊で、神様も耳を塞いでしまいそう。
出た!¥10,000円:円満に通す。ここまで行けば聞いてくれそう。
でも、ここでは投げてもお札は届かないし、音もしないので手堅く、手持ち¥115円の内¥15円で運試ししてみましょう。
5円玉だと3回投げ入れる事が出来ますね。
三好ヶ丘に到着すると有名な景色を見る事が出来ます。
NIKON D7200 (26mm, f/8, 1/400 sec, ISO1000)
下船し、迫力ある岩肌に感動しつつ、奥に歩いてアトラクション会場へと向かいます。
「うん玉」投げです。
5個で¥100円ですので、握りしめてきた最後の¥100円を箱にいれ「うん玉」を選びます。
小石のような大きさで、「愛」とか「絆」とか、他も「福」「財」「恋」などなどの文字が、素焼きに刻印されています。
それを投げて、見事対岸の小さな穴に「うん玉」が入れば願い事がかなうというパワースポットのアトラクションです。
意外と、距離感がつかめずに苦戦します。
僕はというと、1つだけ入りました!
しかし、穴の縁に当たり玉砕しながらです。
・・・どう解釈すれば良いのでしょう?
この奥の方も中々の景色なので、隈なく散策したほうが良いです。
時間で船に乗り込み、本来の船下りで戻ります。
戻りは、同じ川を戻るのですが、のぼってきた左岸から右岸側を通るルートに変わり、日の差し込み方が変化しているので、のぼりとはちょっと変わって見えます。
そして、途中で船頭さんの「げいび追分」をフルコーラスで聞くことが出来ます。
染みわたるような唄は目の前の情景と一帯となり、その心鎮まる空間のなか、時間と川がゆったりと流れていきます。
乗船前は、90分の乗船時間と聞いて、飽きてしまうのではないかと心配した90分だったけど、もっともっと長い時間味わっていたかったとおもいました。
昭和の流れが残る、取り残された観光地と思っていたけど、それは大間違いで、自分を見つめるよい時間でもありました。
若い人でも十分理解でき、楽しめる場所と認識をあらたにし、今まで来なかったことを後悔してしまいました。
今回は紅葉の絶景を逃してしまいましたが、次回は冬季に運行される、鍋コース(要予約)の屋形船で雪景色と舌鼓に期待が膨らみます。
以上、芭蕉はここをなんと詠むか気になる奥野路頼でした。
どんとはれ