先月、読者の方からメールで質問をいただきました。うれしさとありがたさの反面、もっとわかりやすく理路整然とした内容で書かなければならないなと身が引き締まる思いがしました。
「メールの内容をブログで紹介したいのですが」の僕からのお願いに質問主の「Nさん」は快諾してくださり
Nさん:カメラの本やサイトはたくさんありますが、「機材を揃える前に、
と返信してくださいました。
そうですね。僕も経験した事なので全く同様に感じています。
皆さんはSNSにアップした写真をキャリブレーションされたモニターで見たことがありますか?
その色、その明るさは自分の思い通りに伝わっていますか?
初心者ですがキャリブレーションツールは必要ですか?
質問のメールを添付します。
プリントから奥野様のサイトに行きつきました。
以前からカラーマネージメントに悩んでおりまして、いろんなサイトを読んではいますが、難しすぎて理解出来ず。
私もLightroomを使用していますが、くすんだ暗い色味でプリントされたり、カメラの○○○○で色補正無しを指定すると、やはり暗かったり。
一応はキャブレエーションされたWindowsPCを使用しているのですが、暗い色が出てくるということは、ちゃんと調整されていないということですよね?
正確にするにはエイゾーなどのモニターを導入するべきなんでしょうが、場所や予算の問題がありまして、ましてや、理解が出来ていないのに、高スペックな物を購入するのもどうかと思いまして。
とりあえずは、奥野様が紹介されていたエックスライトのモニターキャブレエーションツールだけでも買ってみようかと思うのですが、WindowsノートPCにも有効なのでしょうか?
また、私のような初心者にも使えるのでしょうか?
3万円以上しますが、これくらいの物じゃないとダメでしょうか?
(ワンランク安い物ではダメ?)
多少の編集はしていますがこのようなメール内容です。
色の問題は、気になったらとても悩ましいものです。
そもそも自分の表現したい色や明るさがモニターやプリンターによって違くなるのですから、調整(現像)そのものが無駄になってしまいます。
でも、Nさんはご自分では初心者と表現していますが、僕なんかはそんな事感じた事もなかったですし、色が違う事さえ分かりませんでした。
ですから、Nさんはもう初心者ではないと思ったので、僕は次のように返信しました。
N様の環境であればノートPCに外付けモニターをご準備されてからで良いと思います。 その際はエックスライトを今でもおすすめ出来ます。少々高価ではありますが、信頼できます。ちなみに、先日仕事用(主にエクセルに使用)の液晶モニターに焼きが入ったのでEIZOデビューし、 3万円台のIPS液晶ですが、それだけでも全く違いました。 もちろんエックスライトでキャリブレーションしました。10万円以上するカラーマネジメントモニターではないのでビシッと調整できたわけではありませんが、 それでも薄皮一枚剥がしたような曇りのない色合いが表現できてい るように感じました。 何が正解の色なのか気になったのであれば、もう初心者の意識を超えていると思いますのでモニター環境を整え ても良い時期だと僕は思います。 理解できていないからあきらめているようですが、僕は考えていても理解できないから準備して使って理解しました。 そして、そうすることがなにより精神衛生上健全です。
この時点ではノートPCの機種が不明でしたので、IPS液晶ではなかったら意味がないと考え、モニター購入後はエックスライトで間違いないと答えさせていただきました。
その後のメールでノートPCが写真に特化したハイスペックノートPCだというのがわかりましたので、ますますもってエックスライトをお勧めしました。
エックスライトを初めて知った時は「高っけ~」と思ったのですが、実はこれ以上に高いのが普通で、しかも中にはかなりポンコツな物もあるようですよ。
だから、安くて間違いのないのがこれなのです。プロもフツーに使っているようです。
そして次のように付け加えました。
N様の場合はプリントが暗いのであればモニターの輝度(明るさ)が高すぎるのではないでしょうか。一般的に買ったままの状態は400カンデラとか高い数値です。写真を扱うには100~120カンデラぐらいに調整します。初めてこの明るさにした設定した時はびっくりするぐらい暗いですよ。環境により明るさを自動調整する機能もオフです。
その後、Nさんはどう決断したと思いますか?
僕は予想していました。
僕の予想は「モニターを買う」です。
この後、時間を空けてメールのやり取りをさせていただきました。
あれから、いろいろ考えまして、外部モニターを購入しようと思っています。
今のところ候補は
Dell. UP2516D
EIZO CS 2420
ベンキュー SW2700PTです。ところが、決めかねています。
…続く
本文は比較内容を書いてありますが割愛させていただきました。
その気持ち、非常にわかります。
特に物欲モンスターの僕には、この比較して悩んでいる時間がたまらなく好きです(笑)。
失礼しました。痛いほどわかります。
で、僕の答えはこうです。
いよいよモニターデビューですね。
今の僕だったらベンキューは選びません。
ズバリEIZOのCS230を選びます。
理由はやはり正確に色を表現できる事です。
ひっくり返った読者の方いませんか?大丈夫ですか?
はい、BenQ SW2700PTいいですよ~と言っておきながら、手のひらをひっくり返すようなお返事をしました。
ではなぜEIZOを進めたのか。
それは、主な発表の場であるWebがまだAdobeRGBに対応していないからです。sRGBで十分なのです。
sRGBで良いのであれば5年保証の付いたEIZOが絶対おすすめです。
保証だけではありません。見え方がEIZOの方が本物の色を表現していると感じます。
それに安物のカラーマネージメントモニターは焼き付きが早かったり、頻繁にカラーマネージメントする必要があると聞きます。
流石に経験の浅い僕はそこまでの体験はありませんが、EIZOのモニターを見ると伝わり方が違うと気づきました。
ですから、
で十分だという事でおすすめしました。
しかしですね、この沼もレンズ沼同様に底が無いのですよ。
NさんはAdobeRGBの色を見たいとおっしゃっています。
この気持ちもあの時の僕と一緒で、非常に同感です。
しか~し。
今の僕はAdobeRGB色域を表現できるモニターなのにsRGBに設定して使っています。
なぜでしょう。
それは、その方が色々都合が良いからです。
何より、主な発表の場であるWebはsRGB環境下だからです。
それも正確に見る為にはブラウザは「FireFox」を使い、そこにおまじないをかける必要があります。
BenQ SW2700PTはOSDコントローラーでsRGBとAdobeRGBをポンと切り替えることが出来ますが、ブラウザをその度に設定しなければとてもじゃないけど正しい色で見る事が出来ません。
さらに、sRGBに固定することで色を識別する力が付いたように思うのです。
微妙な色の変化に気付くようになったと感じています。
ですから、自分の目を養うためにはCS-230でも十分だと言えるでしょう。
もちろん予算が許せば…いや、物欲が勝ればその上のグレードを狙うのも後悔のない買い物になると言えます。
今現在の物欲モンスターである僕は資金不足、いや次なる計画の為に資金を増やしている段階(負け惜しみです)なので、欲求を抑えていますが、次に買うとすればズバリ4Kモニターでしょう。
それもできるだけ大きい方が良いです。
理由は単純でカメラの進歩ですね。
先日発表になった「D850」は「8256×5504ピクセル」と、ついに8Kを超えてきました。
さらにニコンは今年もう一つのモデルを投入すると噂されています。
僕が狙うのは、「それ」です。
D850ではありません。
話がそれてしまいましたが、高級なカメラを買うより、カメラを始めたら早い段階で正確な色を見分ける力をつけた方が進歩が速いと思いますし、表現力が付くと思います。
その為にはやはりキャリブレーションされたモニターを手に入れるべきだと思います。
冒頭の質問で「Nさん」も言っていますが、写真はデジタルカメラとカラーマネージメントモニターがセットと考えるべきで、初心者こそカメラの次に揃えるものだと思います。
と、初のQ&Aをしてみました。
僕の持っている機材であれば「使い方をもう少し詳しく教えてください。」などでも構いませんので、ご質問があれば答えていきたいと思います。
Youtubeも登録していますので、動画で見せる事も出来ます。
仕事もあるのでレスポンスは悪いと思いますが、できるだけ早くに答えるように努力しますので質問お待ちしております。
僕も勉強になるので遠慮なくどうぞ。
最後に「Nさん」、今は情報収集したり勉強したりしているので、間違いなく伸びている時です。楽しんで悩んでください。
そして、買った後に後悔しないコツは妥協しない事ではないでしょうか。
少なくとも僕はそうです(笑)。
以上、ようやく仕事が落ち着いてきて自分を取り戻しつつある「奥野路頼」でした。
どんと晴れ
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