最近、DXレンズで唯一ナノクリスタルコートされた16-80mm f2.8-4E ED VRにD500の組み合わせでカメラを持ち歩くようにしているが、何気なく使っているVR機能に疑問を持ち、ある設定を考えた。
VRレンズを活かす「低速限界スピード」を設定しよう
キーワード
VR機構=手ぶれ補正
これはカメラ初心者でもニコンの一眼レフカメラを買った、あるいは検討中の人であれば、もはや常識的な知識だと思います。
この情報はスルーしてもおかしくないでしょう。
VRの文字があると手ぶれ補正してくれる、今や付いていて当たり前の機能です。僕もVRの文字にあぐらをかき撮影しています。
そんな僕の手ぶれ補正の解釈はこうだった。
ファインダーを覗くと、フォーカスしている間、手ぶれ補正が効いている事は容易に確認できる。この時カメラを少々オーバーに動かしても手振れに耐えれるのだが、その運動量のちがいが3段とか4段などの数字なのだろう。
と。
しかし、つい先日ある疑問が頭をよぎった。
それは「手ぶれ補正○段分の補正」とは運動量なのだろうか?
「補正○段」を他の条件に置き替えたらカメラはどんな設定にしてくれるのだろう?
そこで、
「段」という考えをSSやISO感度に置き替え設定してみた
この16-80mmレンズの場合、望遠側の焦点距離である80mmを基準に手持ち限界を導き出すと、手持ち限界スピードは”1/焦点距離”なので、
80mm×1.5=120mmと35mm換算し、その結果手持ち限界シャッタースピードは1/120となり、そのようなシャッタースピードは無いので、近似値の1/125秒が手持ち限界のSS(シャッタースピード)になります。
事実、カメラもその設定になっています。
その辺はこちらの記事で検証済みです。
そして、16-80mmレンズには手振れ補正効果4段分のVR機構が付いています。
その実力をSSで発揮させるためには、カメラの設定をISOオートで「低速限界スピード」という設定を4段分、つまり、1/125秒の4段分下げた、1/8秒に設定できます。
ファインダーを覗くと、何時ものVR機構の無い17-55mmでは小刻みに震えているファインダー越しの映像は、時々画面が小さく移動するぐらいで、良く手振れが抑えられているのが分かる。これなら1/8秒でも行けるかもと言う実感が湧く。
シャッターを切ってみましたが、パッと見の手ぶれは無く、あらためて手ぶれ効果の本当の威力を思い知りました。
スナップ撮影での夕景などの場合も、シャッタースピードがどんどん下がって行きますが、手ぶれ補正の限界以下にはならないので安心してファインダーに集中できて、ISO感度も低い設定で粘るのでノイズの少ないキリットした写真になります。
なにより、いちいち設定を変える必要がないのが良い。
実際使用する場合の設定値は塩梅なので、自分の技量と相談したり、被写体ブレを避けたい場合はもう少し早いシャッタースピードに設定するなど、イメージに合わせて設定すれば良いのです。
手振れの心配が低い広角側で撮影する場合も、設定したこのシャッタースピードは変わらないので、広角側は自ずと余裕のシャッタースピードに設定されます。
ちなみにデフォルトは「オート」ですので、VR機構を配慮し低速にこそしませんが、ズームレンズでも焦点距離に合わせて変化して設定してくれます。
あくまで手持ちの場合ですが、低速限界スピードの設定を見直せば、DXレンズ最高峰の「17-55mm f2.8」と比較しても、この16-80mmレンズの望遠側解放f値4という1段分のビハインドはISO感度4段分で跳ね返し、その差は3段ものISO感度のお釣りがもらえ、魔法の設定と言えるでしょう。
低速限界スピード「オート」で複数レンズを簡単に活かす
さらに、複数VRレンズを所有している場合や、頻繁にレンズ交換する場合、ズーム時の焦点距離に合わせてSSを設定したい場合などは、やはり「オート」が簡単でしょう。
先ほどはデフォルトのオートについて説明しましたが、一歩踏み出したオート設定があります。
それは「オート」を選択した後に低速側、望遠側にそれぞれ2段づつシフトする設定があるので、そこを調整しておけば、レンズ交換のたびに設定を変更する手間が省けます。
ただ、2段程度なので、先ほどのその都度設定するようなとんがった設定にはなりません。まぁ、常識的な設定範囲とも言えるでしょう。
最近のカメラは画素数も多く、繊細な表現ができるので、プロカメラマンは逆にアラが出ないようにSSを上げて撮るようです。
ブレをより軽減する方向にするのか、ISO感度が高い時のノイズ軽減の方向にするのかなど、やはり設定はシチュエーションや好みで分かれるので、一概に「これで決まり!」的な設定はできないようです。
しかし、VRの意味を知り、現場にあった有効な設定が出来る様になると、イメージに近づきより豊かに表現ができるのではないでしょうか。
以上、人生勘違いだらけの奥野路頼(@MitchiOkuno)でした。
どんとはれ