写真の主題を引き立てる方法として、最もポピュラーな表現が背景を「ぼかす」方法ではないでしょうか。
しかし、iPhoneでただ写真を撮ってもボケはほとんど発生しません。ボケを出すためのコツがありますので、今回はそれを紹介します。
iPhoneカメラでふんわりボケ
一眼レフカメラを使っている人には常識的な事ですが、ふんわりボケを楽しみたい場合は絞りを解放付近にしますね。イメージセンサーも大きい方がよりボケやすいので、そういう理由でフルサイズを選択する場合もあります。
しかし、iPhoneには絞り機能は無く、明るさはISO感度とシャッタースピードでだけで調整しています。イメージセンサーも、この大きさであんなきれいな写真が撮れるのかと感心するぐらい小さいのです。
つまりiPhoneでボケを出すには非常に厳しい条件なので、何も考えずに撮ると、ほぼボケた写真にはならないのです。
ただ、iPhoneカメラのスペックを読み取ると、f値(レンズが光を取り込める能力みたいなもの)が高級レンズに匹敵する1.8とか2.8で、この数値から読み取れることは、早く言うとボケやすい条件の一つは備えているという事です。
そして、ボケを出す為には、撮影時にたった一つの条件をクリアすることで、誰でもふんわり背景のぼけた写真を撮ることが出来ます。
その、たった一つの条件とは、
「主題にグググッと近づく」
という事です。
はい、ここ試験に出ますよ~。覚えてね~。
・・・
そこの君、寝ないっ!
という事で、ボケを出すコツは撮りたい物(主題)に目いっぱい近づくことです。
どれぐらい近づけばよいかというと、久々に赤べこに撮影協力してもらいましたのでテストしてみましょう。
使用したiPhoneは広角レンズと標準レンズのカメラが2個付いた8Plusです。
ちなみにどんなレンズスペックかというと、35mm換算で
28mm f/1.8と57mm f/2.8のようです。
この2個のカメラを、画面下の○で囲われた1X、2Xを押して切り替えることが出来ます。実際はシチュエーションによりベストな選択がされているようであります。
先ずぅ、1X(広角レンズ)である事を確認し、赤べこに近づいて、赤べこの頭にピントが来るように、頭(画面上)をタップし撮りました。
ちなみに、赤べこの頭をタップするとブレた写真になります(ここは我慢しないで笑うとこです)。
m(__)m
距離はおよそ10cm。
見事に背景のカメラはボケましたね。
次に、幻想的な写真でよく見る、「前ボケ」を試してみました。
この場合、もちろん奥にあるカメラをタップします。
すると、昨日退院してきたばかりの、僕の愛機である高級カメラと高級レンズにピントが合って、赤べこはボケています。
それにしても良い眺めですね~。高級カメラ(#^^#)
ポートレートモードで撮る
先ほどのやり方は、小さな花とか小物などの比較的小さな物の場合や、近づける事が出来る場合に有効です。
それでは、もう少し大きいものに対してはどうするかですが、その場合ポートレートモードを使います。
ポートレートとは人物撮影の事で、もちろん人物撮影が得意なモードですが、僕は敢えて風景にも使う事があります。
しかし、注意点が2つあります。
一つはiPhoneデュアルカメラのうち、標準(望遠)レンズ側のカメラに切り替わりますので広い範囲を写すことはできなくなります。
もう一つは、もうお気づきかと思いますが、ポートレートモードはデュアルカメラ内蔵のiPhoneに限られるという事です。つまりプラスとテン(X)のみの機能だという事です。
ですので、シングルカメラのiPhoneではできませんので、残念ながらここから先は次回の機種編の参考になるようにオーディエンスとしてご参加ください m(__)m
機種変更の参考と言えば、プラスとテンの違いは望遠カメラに手振れ補正があるかどうかです。もちろんテンには手振れ補正が付いています。
手振れ補正が付いていることでバリエーションが広がります。
ブレの効いた写真が撮れるのです。
という事はあんな事やこんな事も・・・
液晶画面もコントラスト比が数倍違うので表現力が高い。つまり液晶が奇麗なのです(説明していて、めっちゃテン欲しくなってきた)。
下の写真は、比較として2Xをタップしポートレートモードと同じ標準(望遠)レンズに切替えて普通に撮った写真です。
そして、下の写真がポートレートモードです。
念のため説明しておきますが、2Xをタップしなくても自動的にポートレートモードになります。
いかがですか。
一眼レフカメラでも同様な使い方をしますが、ボケは被写体までの距離とレンズの焦点距離で決まります。
ですから、最初にテストした写真はiPhoneカメラの広角レンズ側で、4枚目の写真は望遠レンズですので、当然望遠レンズの方がボケが強く出ます。
絞りを変えられるカメラであれば、絞りを調整し、ボケ具合をイメージに近づけますが、iPhoneは絞りを変える機能が無いので、ピントを合わせる距離で調整します。
でも、これは決して残念な事ではない事を付け加えておきます。
写真上達の為に、とても良い訓練になるからです。
とかく、機械に依存しがちの写真ですが、理屈は今も昔も同じで、かえってiPhoneカメラみたいな少し不自由だけどそこを補う工夫や原理を利用することで、写真の面白さに気付けたり、豊かな発想を養うにはとても良いカメラだと思います。
これもカメラ落下事件のおかげで気づけた事でした。
最後に季節外れですが作例です。
Apple iPhone 8 Plus (6.6mm, f/2.8, 1/842 sec, ISO20)
ススキをタップしてポートレートモードで撮りました。
へんてこな構図ですが、あくまで例えばですので(^-^;
iPhoneでも発想次第で十分訴求力のある写真が撮れると思います。
今後の予定としては、iPhoneで撮る一味違う写真や、おすすめの写真アプリの紹介とその使い方の一部を紹介したいと思います。
iPhoneで撮った写真が劇的に変わると思いますよ。
以上、退院したカメラを愛でながら一杯ひっかける奥野路頼(おくのみちより)でした。
コメント